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ポートレート

 

視覚障害を持つ16歳の女の子の写真を撮った。

俳優のオーディション用のポートレート。

 

彼女の目は微かに光を感じる事は出来るらしいが、色や形を知る事は出来ない。 

 

背景は白、左右45度からソフトボックス2台と下からのアオリ、右後方よりヘアライトを兼ねた天井バウンスのストロボ4灯ライティング。

 

美しいフェイスラインと艶やかな髪の少女。スタイルも姿勢も素晴らしい。

 

ただシャッターが難しかった。

 

カメラを見ることが出来ないので目線が定まらない。光に過敏に反応してしまう事もあるらしいので、連続で切ることも控えなけばならない。

 

僕は声をかけながら、彼女の母親もカメラの後ろで手を叩いたり名前を呼んだりして、レンズの方向を彼女に伝える。

 

戸惑いながらも懸命に笑顔で応える彼女の姿に震える思いで撮影した。

 

45分間、3人のフォトセッション。

 

満足な写真が撮れた。

 

それを見た母親からは丁寧なお礼を頂いた。

そして、その写真を見ることの出来ない彼女からも笑顔で楽しかったと言ってもらえた。

 

彼女はきっと素晴らしい俳優になる。

その時、僕は確信した。

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